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〜レオンのクラナン日記〜

運命の人と出会うまでCLUBに通い続ける奮闘記

僕の原点。前編

「私も好きやったとよ。でも、それだけじゃどうにもならんって、君もわかっとると思っとったけん。」









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僕を乗せた新幹線は博多の駅に滑り込んだ。
新社会人としての生活は、この街から始まった。










僕は関西で生まれ、関西で育ち、関西の大学に通い、関西に本社のある会社に採用をいただいた。
無論、学生時代までは実家暮らし。








何の根拠もないが、配属されるのも関西のどこかの支店とたかをくくっていた。









僅かな研修期間ののち、配属されたのは縁もゆかりもない福岡だった。










何もかもが初めてだった。
何もかもが0からのスタートだった。
得るもの、得る人脈、得る経験、それは全て自分自身が作り出したものだった。









今でも僕にとって福岡での経験は確実に活かされている。
福岡で出会った人への感謝は計り知れず、また福岡という土地が好きで好きでたまらなくなった。
愛着があって、転勤した今でも当時買った愛車のナンバーは福岡のままだ。











福岡に初めて降りたった時、僕はすぐに携帯を取り出しLINEを送信した。
「今福岡に着いたよ。落ち着いたらまた電話するね。」










大阪に置いてきた彼女にLINEを送る。
遠距離恋愛。今日からスタート。
でもお付き合いがスタートしたのはつい昨日のこと。
始まりから僕らは遠距離だった。









彼女は僕の2つ下。
就活真っ最中の学生。
彼女とはバイトの先輩後輩の関係だった。









大学入学時に始めたバイトも卒業する頃には僕は1番の古株になっていた。
3回生になった時に入ってきた彼女に僕は一目惚れして、2年片想いし、3回告白し、2回フラれた。









福岡配属を言い渡された時、大阪でやり残したことはないかと必死に考えた。
別れの挨拶とか、SNSにさっさと転勤の報告した後は、意外にやり残したと思うことはなくなった。
ただ1つだけを除いて。










もう1回告白しよう。
これが3度目の正直。
告白される方には迷惑な話だけど、面と向かってもう1回気持ち伝えて、スッキリして福岡に行こう。
結果なんてどうでもよかった。









彼女にはギリギリまで福岡配属のことは黙っていた。
呼び出して、フラれてもフラれても諦めきれないこと、やり残したことは君に告白することだけだということ、もしよかったら始まりから遠距離やけど付き合ってほしい。
そんなことをアホみたいに緊張しながら伝えた。









もともと口が悪い彼女。
「しつこい。何回断ったら気が済むの?」








よし。スッキリ。
福岡で頑張ろう。












「でも、」












「私はあなたのことを2回フッた。この2年間で。それでもあなたは最後に告白してくれた。こんなにしつこい人今までいなかった。チャラチャラしてると思って信じられなかったけど、私も自分の気持ちに素直になろうと思います。」












そんなこんなで付き合いスタート。
僕は翌日博多行き新幹線に乗りこんだけど、彼女はなぜかどれだけ頼んでも見送りには来てくれなかった笑









 

今思えば当時の僕はダサくて、しつこくて、愚直だった。
真正面から想いを伝えれば、いつか振り向いてくれると信じていた。
ナンパすることを覚えた今、あの時同じように素直に自分の気持ちを伝えることに意味なんて見出せなくなった。
それに反比例してあの時より無責任に、女性に対して気を惹くセリフを条件反射のように吐くようになった。










あの頃の僕にとって、その子との遠距離はすごく辛くて、すごく楽しかった。
僕は毎月彼女に会いに大阪へ帰った。










恋愛経験の少ない彼女は、付き合って、初めて僕という男と交わったあとは、どっぷりと浸かっていったように思えた。









僕は僕で愚直に彼女を想うことを美徳と考えていたので、先輩からの合コンの誘いはもちろんのこと、当時ナンパを知らなかったとはいえもともと好きだったCLUBすら自制して全く行かなかった。











今思えばそのへんを上手くガス抜しなかったことが僕の反省すべき点だったと思っている。












そして、彼女とのお付き合いはそう長くは続かなかった。










別れを告げたのは僕からだった。












泣こうが喚こうが、有無を言わさず無慈悲にも一方的に電話で別れを告げた。
大阪に帰った時に話し合ったけど結果は変わらなかった。










僕は彼女に信じてもらうことに必死だった。
そのためなら大好きなCLUBだって我慢できた。
でも、彼女に最後まで理解してもらえなかった。










どれだけ好きと言っても、いつの間にか彼女の心には届かなくなっていた。
時を同じくして、僕は後々常連となるBARや社会人バスケや大学のOB会などを通じて交友関係はどんどん拡がっていった。











もともとマメじゃなかった連絡がもっと疎かになったのは言うまでもない。











あの子との出会い、そして別れが僕の人生において間違いなく意味を持っていた。
僕は心の底から女心はわからないもんだと思った。













それからの僕は、貪るように夜の街に出続けた。
寂しくて、人肌が恋しくて、毎晩のようにCLUBに行った。









いつも1人で出た。
相方が必要と思う時には適当に男に声をかけて一緒にナンパした。
当時は何も考えてなかった。
抱きたいとか、どうしたら刺さるかとか、そんなこと一切考えず、女の子と話したいという一心で声かけし続けた。









ドイツ人にナンパして持ち帰った時はこんなに英語を勉強していてよかったと思ったことはなかった。
Ich liebe dich.というドイツ語も後にも先にもあんなに連呼することはもう無いと思う。













いくら女の子を抱いても、あの時の僕はますます飢えるだけだった。