大切なことはタイ人に教わった。2
相方と楽しそうに笑いながらこっちに向かってくる彼女の姿が見えた。
てっきりもうホテルにおるもんかと思ってた。
まぁ後から聞いたんやけど普通にもう一軒飲みに行ってラーメン食べてたらしい。
僕のことが見えてない相方と接触したくないなぁと思っていたけど、不意打ちすぎて手を振るしかできなかった。
タイ子は全く意に介してないようで、僕にもう少し待つよう促して相方とホテルのロビーへ消えて行った。
寒いし、不測の事態に、いつも通り泥酔していた僕の頭はすっかり冴えてしまっていた。
彼女をかれこれ1時間くらい待った気がした。
実際は10分くらいだったんだと思う。
何本目のタバコに火をつけた頃か、彼女が一人でロビーから出てきた。
タイ子「お待たせ、さぁ行きましょう。」
彼女は、何度も一緒に過ごして、なんやったらもはや僕らは付き合ってるんじゃないかなと勘違いするように、自然に腕を絡めてきた。
タイ子「ね、今からどこに行くの?」
英語でどう上手く言えばいいんやろう。
普段なら、ラブホに決まってんだろバーローwwwwww
ってサラッと言えるのに。
上手いこと英語でオシャレに躱すには何て言い回しがいいんやろうって考えてた。
僕があわあわして二の句が継げずにいると、彼女の方から言葉を付け加えた。
タイ子「いや、ごめんなさい。どこでも構わないわ。行き先は聞かないから、あなたの行きたいところへ行きましょう。」
シビレた。
僕がナンパに求めてたのはこれなんだ。
彼女には最初から迷いなんてなかったんだ。
僕は、相方を崩すにはどうのこうの、ブーメランが返ってくるのかどうのこうので頭がいっぱいだった。
覚悟が決まってなかったのは僕の方だった。
僕がナンパに何を求めているのか。
たった今彼女に教えてもらった。
多分、僕は映画のワンシーンみたいな即に憧れてたんだと思う。
目が合って、ビビッときて、その日だけは恋人みたいにイチャイチャして、ありがとう楽しかったって別れる。
僕は決してイケメンではないので、自分の全然声かけないやり方は、声かけの数だけで「刺しナン」にカテゴライズされるんじゃないかなーと何となく思ってたけど、なんとなくしっくりこなかった。
演じたかった。
男女の情事みたいなやつ。
それだけ。
刺さるとかじゃなくて、どのタイミングでかはわからんけど、ある瞬間から彼女自身が僕と過ごすことを選択したような固い意志を感じた。
情熱的に抱き合った後、何で僕についてきたか聞いてみた。
タイ子「あなたがかわいらしかったからよ。でも、そもそも日本語で話しかけてくる男はそもそも相手にしなかったわ。」
でも、おそらくこの子は僕より先に英語で情熱的にアプローチする日本人がいたらその人と帰ってたんじゃないかな。
それで構わない。
彼女は僕の理想を演じ切ってくれた。
僕はまた日本に遊びにおいでと言った。
彼女は絶対行くね!って言ってくれた。
でももし仮に彼女が日本に再び遊びに来ても、僕に連絡は来ないだろう。
彼女もまた、タイに一度遊びに来なさいと言った。
僕はおそらくタイには行かない。
それでも、僕はタイに行くならオススメはどこ?と聞いた。
バンコクよ。と彼女は答えた。
僕はなぜ?と訊き返した。
彼女は、私が住んでるところだからよ。と笑った。
そのやり取り一つ一つが洒落てて、話してて楽しくて仕方なかった。
でも僕らはおそらくもう二度と会わない。
その方が綺麗で、オシャレで、儚い思い出のままにしておけるから。
彼女もきっとわかってる。
一夜限りの関係って。
わかりきった上で、今日を楽しむことに徹してくれた。
矛盾するんやけど、あの夜僕らは心の底からまた会った時のことを想像して楽しく話した。
まぁ演じ切ったっていうことなんかな。
僕はこんなに儚さを感じるのは即だからこそだと思います。
どんなに好きな彼女と一夜を共にしても、僕がこの日抱いた感情とは似ても似つかないものやったと思う。
僕はこんな潔い関係に憧れてた。
それはまた、刺しナンでもなければ、即系ひっかけたともまた違う。
おそらく僕は今後も妥協点見つけて、グダる女の子をあれやこれやとグダを崩して泥臭く即ったり、夜明け間際にお互いが交尾の相手探してる中利害が一致したみたいな感じでサルみたいなセックスもするだろう。
でもこの日が理想だった。
彼女にはほんとに感謝してる。
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こっからは余談です。
即への道筋もさることながら、なんとなくCLUBで遊ぶことの憧れと理想もあったんですよね。
僕のクラナンのイメージは、昔からずっとこれ。
Trainspotting - Renton meets Diane - YouTube
トレインスポッティングの主人公レントンがナイトクラブでダイアンに一目惚れするシーン。
実際僕らのやってるクラナンはこんなに儚くないし、泥臭いし、オシャレじゃない。
でもこんな風に、CLUBの中にいるのは僕と女の子だけ。
周りなんて見えない。みたいな雰囲気に憧れてた。
彼女はまるでトレスポダイアンみたいだった。
終始主導権は向こうにあった。
いやもう主導権とかどうでもいいのよ。
ちなみに僕がCLUBそのものに対して抱く理想のイメージとしてもトレスポ大好き。
Trainspotting - My Best Scene (Underworld - "Born Slippy") - YouTube
あと目指す形とかではないんやけど続いて好きなのが
華麗なるギャツビーのパーティーシーン。
ちなみにブログのホーム画面にもこのワンシーン使ってます。
The Great Gatsby Party Scene - YouTube
あとこれね。
曲も大好きながらPVが青春すぎる。
Axwell Λ Ingrosso - More Than You Know - YouTube
クラナンできる期間は短い。
今しか出来ない気がする。
夜な夜な街に出て即って最終的に何が残るかなんてわからない。
いや最近もう、何も残らんのやろうなぁと思う。
でも、今を生きてる感じがすごいする。
だから僕はCLUBに行きます。
またこんな出会いがあればいいな。